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「マルチプルエマルション(W/O/W、S/O/W)」と「カプセル製剤による肝動注治療研究」

マルチプルエマルション(W/O/W、S/O/W) 

「マルチプルエマルション」とは、多相乳化のことを指し、W/O/WやO/W/O、また、微粒子を内封したS/O/W等があります。

 SPG乳化は、これらのマルチプルエマルションの調製に大変適しており、有効成分を精度良く高封入できるのが特徴です。また、エマルションの大きさを目的に合わせて自在に調整できることから、液体カプセルとしていろいろな用途に応用されております。

カプセル製剤による肝動注治療研究

 東秀史先生(メディカルシティ東部病院 院長)と宮崎県工業技術センターの研究グループは、SPG乳化を用いて、水溶性の抗がん剤を内封したW/O/Wエマルション製剤を開発しました。

 これは、肝細胞癌(HCC)の治療を目的とした肝動注療法の為のエマルション製剤で、水溶性抗がん剤の微小水滴を油性造影剤(リピオドール)に封入し、その油滴の大きさを血管の大きさに合わせ70μmにするため、SPG乳化で調製したものです。

(肝動注療法とは肝がんに対して有効に薬を送って化学療法の奏効性を上げるため、肝動脈にカテーテルの先端を置き、ここから肝臓に向けて薬が流れるようにした治療法です。)

W/O/Wエマルション顕微鏡写真

 このエマルションの特徴は、水溶性抗がん剤が油滴に内包(カプセル化)しているため、血管内皮を傷めずに患部まで薬剤を届けることができることから何度でも薬剤が投与できること。また、エマルションの大きさが一定に揃っているので目的以外の血管に流入しにくく他の臓器に抗がん剤がいかないため、副作用が少ないことがあげられます。

 このような肝細胞癌(HCC)の肝動注治療には、水溶性抗がん剤のほかに、プラチナ製剤といわれる微粒子も多く使用されております。SPG乳化は、このような微粒子の油性造影剤への懸濁(S/O、SW/O)やカプセル化(S/O/W)も可能です。